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労働としての「教育」とは何か?

教育としての学校事務―子どもの学習発達保障のために教育としての学校事務―子どもの学習発達保障のために
(2010/06)
不明

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「教育」という言葉の響きは複雑だ。一般的に教育と言えば学校での教員と生徒の関係を思い浮かべるだろう。教員は子どもに対して教育という崇高な貢献をするがゆえに社会的に評価されもするし、また逆に教員であるが故に世間からのルサンチマンにさらされることもある。
だが、教育の場である学校自体は教員だけで成り立たっている訳ではない。学校は教員の生徒への教授、事務職員による諸事務、用務員の施設管理、給食調理等々の多様な労働によって成立し、それらがトータルに「教育」という営為を構成しているのだ。しかしながら、教員や世間一般にとって教育とは教員の専権事項であり、学校に存在するこれら多様な労働は教育ないし教員の補完物である、という認識が強いのではないだろうか?著者は長年、公立学校の事務職員として学校に勤務してきた経験から、こうした教員の補助労働とみなされがちな「学校事務」という分野について分析し、学校事務=教育の付属品という考えを批判的に捉えている。そのうえで、教員の下請けでもなく、また教育委員会を頂点とする行政の末端部分としてではなく、学校教育という一つの共同・協働をになう学校独自の存在として学校事務職員の労働を捉えようとしている。

こうした教授活動を中心とした狭義の教育(内的事項)と教育予算や施設環境の整備といった事柄(外的事項)は相対立するものとする発想が行政の中には存在し、教員以外の学校職員の非正規化や単純労働化が推し進められる原因ともなている。こうした、教育の外的事項と内的事項を対立的に統一的に捉え子どもの学習権を保障するというのが著者の立場だ。

私ももちろん、この点に大きな異論はない。しかし、現在公立の学校現場でとりわけ問題なのは教員の多忙化などに象徴される過重労働であり、そしてそれらを「解消する」とするがコストはかけたくないという行政当局による事務職員への業務負担増や非正規化、アウトソーシングである。これらは現在ある学校現場の問題をさらに困難にし、教育という労働をますます疎外する要因(教員も含む事務作業の増加、長時間労働など)ともなっているのだが、これらは学校現場では現在ほとんど問題化されない。一つには教育という行為が無前提に肯定されそれにかかわる労力に批判的視点が持ちにくいことがあるだろう。

教育という営為もまた労働の一つであり、そうである以上そこに横たわる疎外化や過重労働の問題と決して無縁ではない。著者は教育をさまざまな立場の学校職員の協働作業と位置付け、教育は教員の専門分野(もちろんその部分もあるが)に限定することを否定するものの、では教育労働の現状はどうか、という部分に物足りなさは残る。教育の内的事項と外的事項の統一を考えるのなら、協働を主体的に担えるだけの余裕やゆとりある職場環境づくりが不可欠だ。教育を担う学校事務職員の確立、とはその模索と闘いの中から生まれてくるのではないか?
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教育過程の協業的性格

はじめまして!
プレカリアートさんのブログから来ました。
この問題では「同志」のようなので、以後よろしく!

エントリーされた問題、かつて共産党系左派の中で論争になったことがあるんですよね。教育分野の労働組合組織をどうするかという問題(事務員や用務員、給食調理分野の栄養士・職員たちを一般の教職員と同じ組合組織に加えるべきか否か、等々の問題)として。

教育労働の分業的・協業的性格を承認すれば一緒にすべきだ、という少数派意見が多数派の「別コース」論と対立したんです。
当方は芝田進午氏たち少数派の方が正しいと思うんですがね・・・・

教育分野での近年の民営化攻勢や非正規の増加は、左派のこういう組合運動・組織論上の弱点につけ込んできたという面も否定出来ないと思うんですよ。
いかがでしょう?

ようこそ

はじめまして。
学校労働者の組織化の問題はちょっと特殊だと思います。教員が特別という意識は労使双方に根深いし、制度的にも教員とそれ以外の職種の雇用(任用)形態はかなり違います。一応、事務職員の多くは今でも教員組合の中にいますが、それ自体も少なくなっているし、何よりトップが教員であることには変わりないわけで、現実的には教員中心主義になっています。
私自身はそういう教員中心主義的なあり方に批判的なので現状では職能組合に結集しつつも局面ごとでの課題共闘を模索すべきだと思っています。
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